偽装滞在者対策の強化
近年,偽造した卒業証明書や虚偽の雇用証明書等を提出して不正に在留資格を得る者や実習先から無断で立ち去り他の職に就く失踪技能実習生等の偽装滞在者の存在が問題となっています。そこで,偽装滞在者への対策を強化するための改正が行われました。
1 偽装滞在者に係る罰則が整備されます
【新たな罰則の対象となる者】
偽りその他不正の手段により
上陸許可を受けて上陸した者
在留資格の変更許可を受けた者
在留期間の更新許可を受けた者
永住許可を受けた者 等
【法定刑】
3年以下の懲役又は禁錮
300万円以下の罰金
のいずれか又は両方
なお,営利目的でこのような行為を行うことを容易にした者については,通常の幇助犯処罰の刑(正犯の法定刑の半分)よりも重い3年以下の懲役又は300万円以下の罰金のいずれか又は両方を科すものとされています。
2 在留資格取消制度が強化されます
① 在留資格取消事由の新設
日本において行うことができる活動が定められている在留資格(入管法別表第一の在留資格)によって在留しながら,実際はその活動をしていない外国人に対する在留資格取消事由として,在留資格に応じた活動を行っておらず,かつ,他の活動を行い又は行おうとして在留している場合という新しい取消事由が定められました(第22条の4第1項第5号)。
これまでは,在留資格に応じた活動を3か月以上行っていない場合に初めて在留資格の取消しが可能とされていましたが,今回新設する取消事由により,3か月経たない場合においても,在留資格に応じた活動を行っておらず,かつ,他の活動を行い又は行おうしている場合には,在留資格を取り消すことが可能となりました(ただし,正当な理由がある場合は除かれています。)。
② 調査主体の追加
在留資格を取り消すかどうかを判断する前提となる事実の調査を入国審査官だけでなく入国警備官も行えるようになりました。
「法務省入国管理局」のホームページへより
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